1. | ネーグリ |  | (動詞) | びっこを引く。(生まれつき片あしが短くて。怪我をして。)普通hagi neeguri という形で言う。 |
2. | ネーギャネーギャシュリ |  | (連語) | 軽い程度のびっこを引く(疲れたりして)。びっこ気味に歩く。生まれつきびっこの人の、びっこの引き方の軽いことは、 aariQkwa neeguri. |
3. | ネー ワレルリ |  | (連語) | 胸がやける。 |
4. | ネぇールリ |  | (動詞) | しなびる(野菜、果物などから水分が失われて)。 |
5. | ネバルリ |  | (動詞) | ものが腐敗して糸を引きべとつく(×糊、あめ、納豆など粘るのがよいもの、粘ってかまわないものは(類)mucimuci sjuri)。 |
6. | ネズミガイェシ |  | (名詞) | ネズミ返し。昔は作りつけしなかった。 |
7. | ネッショ |  | (名詞) | 寝室に当たる部屋。太家の場合を例にとってその構造や使い方を示せば以下の通りである。場所はnahaN'ja《中の棟》の10畳の間。 omo e《表座敷》との仕切りは腰高障子、 uci N《縁側》との境は舞良戸。裏庭に面した所だけ明かり障子を用いてあった。もう1方の納戸との間は1間の巾の場所を上下に仕切って、上は作り付けの仏壇で朱塗りの彫刻を施した引戸が立ててあり、下は朱塗りの小箪笥をはめ込みにしてあった。隣に並んで小座に通じるところは舞良戸があり、その前に朱塗りの小箪笥と黒塗りの小箪笥とが重ねられ、上に置きランプを置き、その横にあんどんを置いてあった。古風な建て方ではあったが、天井板の下の大梁など巨材を用い、頑丈で本土の御殿大工の建てた書院と比べても見劣りしないものであった。奄美にもすでに腕のすぐれた大工のいたことを物語るものである。床は古風に簀の子になっており、いろりも切ってあったのを、長田の父の代に簀の子を板に替え、いろりも取り払って畳を敷きつめたという。押入れがないので布団は omo eと uci'iNとの境の角に当たる所にいつも積み上げていた。仏壇は明治の廃仏棄釈のためか、枕入れに使われ、仏壇の下部の線香入れの引出しを、母は小銭入れにしていた。裏庭に面した明かり障子の下座に、食物入れの戸棚があったが、これが唯1つの物入れであった。 |
8. | ネダ |  | (名詞) | 根太。床板を支える役の角材で、xa akwasiの輪郭の中に縦横に水平に渡す。縦の長根太の本根太は iNxurusiという名がある。横根太の主なものはhuNneda《本根太》といい太く、その間を補強するものはやや細くnadoneda《間根太》という。1.3~1.5寸くらいの直径のもの。根太に対して垂直に柱を組み合わせていく。 |
9. | ネこアシジン |  | (名詞) | 猫脚膳。膳の脚がネコの足を形どってある。正式の膳部の1の膳に使ったもの。黒塗りまき絵で美しい。長田の父の記憶では50膳あったというが、長田のときにはわずかに5膳くらい残っているだけで、神様のお供物をのせるときだけに使っていた。 |
10. | ネセナリヨウぇ |  | (名詞) | 成人祝。男子が15才になると、成人したことを認める式が行われた。式の詳しいことは解らないが、沖永良部島では、叔母が1日で織上げた褌を甥に祝として贈るということを聞いている。長田の曽祖父は叔母から白羽二重の褌をもらったと聞くが、それが習慣だったか解らない。上層では髪の結い方を変え、名もnesena≪成人してからの名≫に改めた。(類)sita obi'jo'we |
11. | ネセナ |  | (名詞) | 成人名。男子は一般に15才の成年式のときそれまでの幼名を成人名に変えた。成人名には父の名をそのまま襲名したり、先祖の名前を1字継いでつけたりすることが多かった。太家では父から子へ三和良という名を3代くらい伝え、1代おいてまた2代三和良を名のる者が続く、という状態であった。そこで長田たちはその2代の三和良(曽祖父と祖父に当たる)を、 o'jami'warahuQsju親三和良おじいさま、kwaami'warahuQsju子三和良おじいさま、と区別して呼んでいた。日常では幼名の方が成人名を押えてよく用いられたが、墓石にだけは成人名が彫られた。学校が出来てから、成人名をgaQkona≪学校で用いる名≫と言った。(類)naa、'warab na |
12. | ネセゴナ |  | (名詞) | 若者組。若者(15才から20才くらいまで)たちは若者組の一員として村の行事に参加し、協力し合った。5月5日のhunasjubu≪舟競争≫、8月15日のhacigwac s mo≪8月相撲≫はhuQcjugona≪大人組≫と対抗して競い、年末には usi'wasure≪忘年会≫を開き、一方、墓の掃除、家の建築などにはそろって労働力を供した。長田の幼時にも、祭のときなどは青年たちが鎌踊、棒踊、長刀踊、甚句踊などを習い、見事な踊を披露して村人を楽しませた。meerab ≪娘≫たちは処女会というグループを作って8月踊などを見せた。(類)huQcjugona、'warab gona |
13. | ネンネ |  | (名詞) | ねんね。幼児語。 |
14. | ネゲぇグトゥ |  | (名詞) | 願いごと。すなわち、(主に)'jo a《霊媒》を通して神に祈願すること。[以前はnoroが行った形跡があり、また長田の家では神社に行って神官に依頼したりすることもあった。'jo aはあの世の霊魂を見たり、それと話をしたり出来るという特別な能力を持っているだけに、'jo aに頼めば願いごとも成就すると、一般には信じられている。 |
15. | ネリヤ |  | (名詞) | naruxo eruxoに同じ。 |
16. | ネセ |  | (名詞) | 若者。青年。(15才のnesenari'jo'we《成人祝》([習俗信仰]の部を見よ。)を済ませてから、21才の徴兵検査の頃までの男子。既婚未婚の別を問わず、年令によって区切る。)(対)meerab (類)nesegona{社会} |
17. | ネーサン |  | (名詞) | ねえさん。姉。(呼称、名称とも。また本土同様知らない若い女に呼びかけるのに使うこともある。ごく最近はneecjaNの形も普及して来た。(類) anisaN |
18. | ネゴホンダヌぃ |  | (名詞) | 言い伝えの中の米の古名。 |
19. | ネた |  | (名詞) | 水たまり。イノシシは体についているダニを取るため水たまりや木に体をこすりつける。その水たまりの跡を見れば狩りの手がかりとなり、木についている泥で何斤くらいのイノシシがいるかということが分かる。[大江成海氏談] |
20. | ネバリ |  | (名詞) | メバル。メバルの登場する昔話を原文によって記す。xesa a aN juka na、 aru 'onagu nu juu urja nu a ome na kwa na jaN juka na.xuN juu urja saki uzi u kwa nu 'u 、xuN kwa taariN ju xamasuN ukiN maNmakwaN naa juNxamaci beeri xamaci zibuN nu kwaN naa mii beeri xamasutaN juka na.'u u 'ja uri mici nuu xa 'jQcjaN hooho neN xai ci omo aN ci. aru hi nebari ba c taQtu uN nebari nu kuci naN hoxa nu ju nu mii ba c Nmari c m  uci'ja aN ci.gasi sjaQtu a omee zibuN nu kwaN niN beeri mi nu oro xamaci、maNmakwaN naa xane e nu uuri xamaci sik aN juka na.gasi sjaQtu uQkaara du nebari nu kuci 'jaa hw sa na aN ciba.njaa uN buN. 昔 あった と さ。ある 女 が 漁師 の 後妻に なって 子どもを 産んだ と さ。 この 漁師は 先妻 との 子ども が いて、 この 子ども 2人に 魚を 食べさす ときに 継子に は 魚の頭 ばかり 食べさせて 自分 の 子に は 身 ばかり 食べさせていたと さ。 夫 は それを 見て 何 か よい 方法は ない か と 思った と。ある 日 メバルを 釣ったので その メバル の 口 に ほか の 魚 の 身 を いっぱい 詰めて 置いておいた と。そう したら 後妻は 自分 の 子 に ばかり 身 の 所を 食べさせて、継子に は 前々から の とおり 頭を 皿につけた と さ。そう したら それから (ぞ) メバルの口 は 大きく なった って。それでおしまい(もう それだけ(その 分))。 |
21. | ネバリ |  | (名詞) | メバル。メバルに関して昔話がある。[遊び・音楽・昔話]の部を見よ。 |
22. | ネたサリ |  | | |
23. | ネー・ネールリ |  | (動詞) | 濡れる。他動詞形は neesi。《しなびる》の nee は別語。 |
24. | ネーン |  | | |